2011年8月29日
放射性物質の降下量
今日,娘の小学校で,先生方との懇談会で,放射線の影響について,
大丈夫なのか危険なのか,両方の情報があって,判断がつかないという意見があった.
その例で,昔は今以上に放射線量が高かったという情報をあげていた.
これは,webを検索してみると,どうやら4月14日号の週刊新潮の記事
"あなたが子供だった時、東京の「放射能」は一万倍!"が元になっているようだ.
この記事では,1955年から1965年あたりのセシウム137,ストロンチウム90の月ごとの降下量が
平米あたり10^2ベクレルオーダーであったのに対して,
1990年以降は10^-2ベクレルオーダーだったということから導いたタイトルである.
確かにこれは事実.ちなみに,この論文がソースのようだ.
ちなみに,青森県の年ごとのデータが見やすく公表されている.
http://www.aomori-hb.jp/ahb2_08_t01_term.html
一方,今回の事故でどのくらいの放射性物質が降ってきたかというデータは,
たとえば,このような図解を作ってくれてる方がいた.
東京でさえ,2か月で10^4オーダ,もっともひどい地域では10^7オーダである.
さらに,今日公表された土壌汚染のデータでも,10^7オーダの汚染地域があることが判明した.
もちろん,降下量と堆積量の違いがあり,直接比較してはいけないかもしれないことに注意が必要である.
確かに,核実験全盛期は何年にもわたり,かなりの量の降下があったわけだが,
どうだろう?内部被ばくとしては,どちらの方が危険なんだろうか?
ただ,事故現場に近いところは,核実験による降下量などと比べ物にならない量の
放射性物質が降り注ぎ,蓄積していることは事実である.
また,核実験全盛期と決定的に違う点がある.
チェルノブイリ原発事故でも問題となった放射性ヨウ素の影響である.
半減期が短いため,既にその影響が非常に少なくなってきているが,かなりの量が降り注いでいる.
#おそらく牛乳が汚染されていたのは間違いないだろう
先の意見は,別の方が「震災後の子どもの様子は?」という問いかけに対する答えの一つだったのだが,
その前に私が言った「先生方には放射線の勉強をしてほしい」と言ったことへの回答だったのだと思う.
科学的?疫学的?には,現状,放射線の影響ははっきりしていない.
だからこそ,噂ではなく,だれかの判断ではなく,
あらゆる科学的・疫学的な考え方を知っておくことと,
事実データを自分で検討できるように勉強してほしいと伝えたかったのだが...
※メモ:Bq/m^2 = Bq/Kg×65 表面5cmを採ることを前提とした換算係数